会場に集まったのは、闇雲-yamikumo-のファンの呼称である“パラノイア”たち。開場前から長蛇の列が生まれ、フロアは過去最高動員となった観客の熱気で満たされていた。
闇雲-yamikumo-は、2025年12月に開催したワンマンライブのチケットが発売即日にソールドアウトし、急遽追加公演を実施。2026年3月からは全国9会場を巡るツアーを行ない、累計1,000人以上を動員した。今年1月にリリースしたシングル「憎悪」は、MV公開後まもなくYouTubeで12万再生を突破。SNSを中心に国内外で話題を集めた。
超攻撃的なサウンドと、ヴィジュアル系の美学を纏ったライブパフォーマンス。ガールズラウドの文脈だけでは収まらない存在として、V系メディアからも注目を集める彼女たちの現在地が、この日の東京キネマ倶楽部に刻まれた。
SEの音量が上がると、パラノイアたちが一斉に手を掲げる。メンバーが1人ずつ階段から降臨するように姿を現すと、会場の温度は一気に上昇。オープニングナンバー「神風」が鳴り出した瞬間、フロアは熱気に飲み込まれた。
曲中で歌われる“その意思を示せ”というフレーズは、この日掲げられたタイトル<遺書>に対する覚悟を試すようにも響く。続く「Howling」では、深淵 狂流のScreamが会場を切り裂き、パラノイアの手が高々と掲げられた。後方から見ても視界を遮るほどの“手の壁”が、フロアの熱量を物語っていた。
ここで天使 堕門が、この日の開催への想いを語る。
“Road to 日本制圧から始まって追加単独公演"日本制圧"、主催ライブの召集令状、メンバープロデュースのカミカゼツアー、そして今日の単独公演『遺書』。細かく言えばもっとたくさんあるけど、これは全部、そこに貴方がいてくれたから作れた最高の思い出たちです。人はいつか死んでしまうからこそ、その限られた時間の中で、貴重なこの80分間で貴方に伝えられる感情全てをぶつけたい。そんなふうに思っています。まだ来てない未来の不安に今日を奪われる必要なんてない、しょうもない大人の言うことにいちいち耳を貸す必要もない、無防備に傷つけてくるこの世界を、うちらはうちらのやり方で切り裂いてこうよ。さあ狂え、ジャック・ザ・リッパー!!! ”
その言葉を合図に「ジャック・ザ・リッパー」へ。心臓を打ちつけるようなツーバスドラムに合わせて、メンバーとフロアが一斉に折りたたむ。天使 堕門の“死ね、バーカ!!!”というシャウトに呼応するように、会場は雄叫びに包まれた。撫子 凜の高速ラップが走り出し、ステージから放たれたドラム缶がフロアへとダイブ。闇雲-yamikumo-のライブが持つ危うさと祝祭性が、一気に爆発した瞬間だった。
続く「Paranoia」では、闇雲-yamikumo-名物ともいえる“正座崇拝”からスタート。初めて目にした者にとっては異様にも映る光景だが、そこにあるのはパラノイアとの強固な共犯関係だ。メンバーの煽りに合わせてフロアは上手、下手へと大きく移動し、その動きはやがて巨大なサークルへと変わっていく。
勢いを止めることなく、『超⚡️超音波』エンディングテーマにも起用された「憎悪」、破滅的で狂気的な愛や依存を描いた「心中愛歌」など、人気曲がノンストップで投下される。
一瞬でフロアを混沌へと引きずり込むライブキラーチューン「PSYCHO KILLER-Kai-」では、喰海 魔魅がパラノイアへ語りかけた。
“2025年12月8日、「後ろは見ない」と誓った日から、自分達らしさを探していた。正直自分達でも何が正解かわからなくて、いろんなアーティストが居るこの世界で生き続けるためにどうしたらいいかって。続けていくことの難しさを知っているからこそ、この1年間このメンバーで戦ってこれたこと、今の闇雲をみんなと作れたこと凄く嬉しいです。ありがとう。人が変われる瞬間って最悪な時が多いんだって。私たちを変えてくれたこの曲でキミの最悪を変えよう、キミが流した涙はいつかキミ自身を救ってくれるから前だけ見て進んでいこうぜー! 不吉な数字? いやいやこれはキミの人生を変える数字だ。悪魔の数字、きみに託すぞ! ”
新約聖書において“悪魔の数字”として記述される数字をタイトルにした“666”がコールされた。同曲が描くのは、人間の弱さ、そこにつけ込む悪魔の誘惑、そして破滅へ向かう快感。闇雲-yamikumo-の楽曲には、死、破壊、痛みといった過激な言葉が並ぶ。しかし、その表層の奥には、生きづらさを抱えた者を救済しようとするメッセージが隠されている。
終盤、哀憐 糜爛が語った言葉は、本公演『遺書』の核心を示しているようだった。
“誰からも期待されない、誰からも求められない苦しい日々だった。負け続きで悔しい思いをしてきた。でもそんな気持ちも力に変えて走ってきた。生まれ変わると決めたあの日からみんながついてきてくれた、みんなが変えてくれた。気がついたら誰からも求められない存在ではなくなっていた。私たちは決意と覚悟を胸にこのステージに立っている。そう私たちの存在証明はこの『遺書』なんだ。”
死ぬ気で挑むが、決して死なず、次へ進むために生き抜く。その覚悟の表明こそが、闇雲-yamikumo-の存在意義なのだろう。最後に披露された「Raison d’etre」で、覚悟の<遺書>は幕を閉じた。
総勢40組超のサーキットフェス、初の海外公演も発表
7月26日(日)には、闇雲-yamikumo-主催のサーキットイベント<闇墜 Fes>を渋谷 THE GAME、Shibuya Milkywayにて開催。総勢40組を超えるアイドル、バンドが出演する。
さらに、通販と会場物販限定シングル「Maggots」のリリース、8月12日(水)のデジタルフルアルバム『闇堕』リリース、8月28日(金)の『闇堕』リリースツーマン企画<轟音地獄>、8月から9月にかけての主催イベント<三都激突>、10月14日(水)のデジタルシングル「悪党」リリース、10月17日(土)、18日(日)の「悪党」リリース2デイズ主催<闇堕 Party>の開催も明らかになった。
そして、11月には初の海外遠征となる台湾公演を開催。12月16日(水)には、渋谷WOMBにて<完売必至 Revenge ONMAN LIVE『下剋上』>を開催することも発表された。
“今日、これだけの人に来てもらえて、今ここに立てている意味を強く感じています。でも次のステップに行くには悔しいことを乗り越えなければなりません。1216 渋谷WOMB。これは下克上です。ここを完全に埋めて更に先の景色を貴方と観にいきたいと思っています”
2025年末のワンマンが即日ソールドアウトとなり、急遽決まった渋谷WOMB公演。しかし、その公演はソールドアウトには届かなかった。彼女たちにとって、それは乗り越えるべき悔しさとして残っている。
今回の<遺書>には、自分たちの存在証明とともに、1度死んだつもりで生まれ変わり、さらに上のステージへ噛みついていく決意が込められていたのかもしれない。
12月の<完売必至 Revenge ONMAN LIVE『下剋上』>で、その宣言は果たされるのか。闇雲-yamikumo-の動向から、引き続き目が離せない。
撮影:折田琢矢
<カミカゼツアーグランドフィナーレ 三周年記念 単独公演『遺書』>セットリスト
02.「Howling」
03.「ジャック・ザ・リッパー」
04.「Paranoia」
05.「憎悪」
06.「心中愛歌」
07.「百鬼夜行」
08.「PSYCHO KILLER-Kai-」
09.「666」
10.「Boogieman」
11.「Raison d’etre」
EN2.「誘惑ノックアウト」
EN3.「Dystopia」
EN4.「神風」
発表情報
会場:渋谷 THE GAME、Shibuya Milkyway
内容:総勢40組を超えるアイドル、バンドが出演
会場:渋谷CRAWL
会場:代官山 SPACE ODD
会場:梅田 ODYSSEY
会場:RADHALL
会場:渋谷近未来館
会場:渋谷WOMB
闇雲-yamikumo- プロフィール
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Instagram:https://www.instagram.com/yamikumo_official
YouTube:https://www.youtube.com/@yamikumo_