インタビュー
市川美織×早川博隆×カンナギマロ【プロデューサー鼎談】アイドルを育てる、その覚悟「みんなの人生を預かっている」
2026.09.02 12:01
 
市川美織
 

メンバーの存在が、人生の一部になっている(市川)

 
――プロデューサーとして、メンバーそれぞれの個性を作ることについては、どのように考えていますか?
 
市川 私だからこそ言えるのは、キャラクターは本当に突き通さないとダメということ。アイドルの中には最初にキャラクターを設定している子が多いんですけど、やっぱり大人になってくると、その設定が恥ずかしくなってしまうことが多くて。私はいつまでも恥ずかしくなくて、むしろ“(その設定のキャラクターに)まだなりきれていない”というマインドで突き通せていました。
 
――1度決めたキャラクターを継続することが大事だと。
 
市川 やっぱり続ける覚悟が重要ですよね。私自身、スタッフさんに“次のネタはないんですか?”と、何度も言われました。握手会でも、“フレッシュレモンになりたいの!”をやってくださいとたくさん言われましたし、それに全力で応える忍耐が重要でした。FRESH CHARMのメンバーには、キャラクターの設定は自分で考えて、覚悟を持って続けてほしいと教えています。
 
早川 深いですね。
 
市川 おかげで広島レモン大使も10年以上やらせていただいています。
 
カンナギ すごい。
 
――キャラクター設定は、スタッフに決めてもらうのではなく、自分自身で決めることが大切なんですね。
 
市川 そうですね。私は、事務所の社長に“お前、大丈夫か?”と言われるくらいでした。1回“土に帰りたい”って言ったこともあります。
 
一同 (笑)。
 
市川 お父さんにもかなり心配されましたが、本当に自分の意志でやっていました。
 
カンナギ 私は逆に事務所から言われた側でした。当時、葛西臨海公園で撮影していた時に、“今から10分以内にキャッチフレーズをつけてほしい”と言われて、“どうしよう?”と思っいたら、(ディズニーランドの)シンデレラ城がちょうど見えて……。思いつきで決めたキャッチフレーズ(シンデレラの生まれ変わり)だったので、みおりん(市川)さんみたいにはなれず(笑)。本当に苦しむ結果になったので、ツキナミのメンバーは、本人たちが言いたいものにしています。ツキナミは、10年後も続けられるグループにしたいと思っていますので。
 
早川 僕は、メンバーのちびキャラを作ってあげたい気持ちはあります。
 
市川 流行っていますもんね! キャッチフレーズは、強制的につけたりしないですよね?
 
早川 しないかも(笑)。そういう時代ですしね。
 
市川 パワハラだって言われかねないし。
 
カンナギ 私もパワハラ問題は気にしています。どこからがパワハラなのかわからないし、どこまで言っていいのか……。
 
市川 その子のためを思って言ったことが、ハラスメントと捉えられてしまうことがありますので、難しい問題ですよね。
 
――カンナギさんもパワハラを気にされているんですね。
 
カンナギ 自分がデビューした時とは、時代が全然違いますので。私はすごく厳しいことを言われていましたし、それが今の自分に活きていることも多いです。でも、今私がその熱量でメンバーと向き合ったら100%アウトなので、思ったことは1回飲み込んで丁寧な言葉に言い直しています。ただ、何かあったらLINEなどに晒されることもあるという覚悟ではいます(笑)。
 
早川 カッコいいー!
 
カンナギ 私はライブ現場も帯同しているので、半分マネージャーのような立ち位置なんです。レッスンにもすべて立ち会っていて、意見が厳しくなることもあるので、本当に気をつけています。
 
――プロデュースをしていて、楽しい瞬間はいつですか?
 
市川 やっぱり成長が見られることかな。あと、ライブ会場でファンのみなさんが一生懸命応援している姿を見ると、すごく嬉しいです。
 
カンナギ デビューしたばかりということもあって、会うたびに成長が見られるので、いろいろな発見があります。最初に5曲レコーディングしたのですが、1日目に歌が得意じゃなかった子が、5日目には表現力がすごく伸びていて、歌割りを増やしてあげたいと思うこともありました。
 
市川 わかります! 歌割りって難しいですよね。
 
早川 プロデューサーの悩みですよね。
 
市川 メンバーそれぞれ不得意なことがあるけど、その弱点を避けてしまうと伸びないし。成長するには苦手なところにも挑んでいかないといけないので、難しい……。
 
カンナギ 本当に難しい。ちょうど昨日も歌割りオーディションみたいなものをしました。
 
早川 オーディションするんだ!
 
市川 意外と曲によって得意不得意があるから、わからないことが多いですよね。歌がウマい子でも、苦手なパートはありますし。
 
カンナギ そうですね。歌が苦手な子が、1番高い音をさらっと出したりすることもあって面白いなと。
 
早川 僕はけっこう感覚で歌割りを決めているかな。あとは、歌詞に登場する漢字が、その子の名前に入っていたりすると、そこを担当してもらったり。
 
市川 わかります! 境遇とかね。
 
早川 まずイメージで決めて、一部はオーディションしていますね。でも、歌割りをコロコロ変えるので、メンバーに迷惑かけていると思います。
 
市川 私もちょこちょこ変えます。
 
早川 それで“ここは、私が歌いたかったのに”ってなることもあるから難しいですね。
 
カンナギ レコーディングの時に“ここを歌いたくて練習してきたので、聴いてもらっていいですか?”って主張する子もいて、すごいなと思いました。自分だったらできなかったと思いましたし、メンバーたちに学ばせてもらっています。
 
市川 自主性がすごいですね! メンバーはけっこうガツガツしていますか?
 
カンナギ ガツガツしているとは思うんですけど、人見知りなので、ほかのグループさんと仲良くできるかな?と心配になる部分もあります。
 
市川 うちはコミュ力お化けが1人います。最年少の子が、知らない人にすぐ話しかけに行って、写真撮ってもらったりしていて(笑)。逆に自信がなくなっている子もいて、“今日の髪型、大丈夫ですか?”“今日の私、可愛くない”って言われたり。
 
早川 そういう時、どうしているんですか?
 
市川 “可愛いから大丈夫だよ!”って(笑)。
 
カンナギ 私は、“可愛いから気にしちゃうんだろうね”って言っています。綺麗な部屋にゴミが1個落ちていたら気になるけど、ゴミ屋敷にゴミが落ちていても気にならないじゃないですか。そもそも可愛いから、少しのブレが気になっちゃうんだろうなって。あとは、“私が選んだのに可愛くないって言うのかよ!”“超可愛いと思って選んでるよ!”って言ったりもします。
 
早川 それ、めっちゃいい!
 
市川 早川さんは男性なので、メンバーとの関わり方が難しいところがありますよね。
 
早川 メンバーと1対1で連絡を取らないなど、基本的なことは徹底して気をつけています。やっぱり女性の方が寄り添えるので、そこは羨ましい。悩みも男性には言いにくいことが多いでしょうし。
 
――ケアが難しいですよね。
 
市川 私がアイドルをプロデュースすることを発表した時に、アイドルプロデュースをしている知り合いから“メンバーは、メンタルがやられることが多い”と言われました。
 
カンナギ それもあって、私は飲みに行けなくなりました(笑)。夜にメンバーから相談の連絡があった時に、ベロベロの状態だと良くないじゃないですか。いつでも素面で対応できるようにしています。
 
早川 人生を変えていますね。
 
カンナギ 二日酔いがなくなって、健康になりました(笑)。
 
――プロデューサー自身が、生活を律するようになったと。
 
早川 やっぱり生活の中心になりますよね。
 
市川 今まで自分がプロデュースされていた側だったので、いざする側になると、みんなの人生を預かっているということを感じます。親御さんのもとから1人で上京してきている子もいるので、責任を感じますし、しっかり面倒を見ないといけないなと。その子たちの存在が、私の人生の一部になっています。
 

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