2025年10月に開催した番組イベント『Spicy Sessions -THE LIVE-』を、ゴスペラーズをデビュー当時からよく知り、数々のアーティストのオフィシャルライターを務める音楽ライターの伊藤亜希が取材。
『Spicy Sessions』の魅力を伝えるレポートの第11弾として、12月27日(土)に放送するイベント後半(第2部)の模様を、MCインタビューと合わせてお届けする。
そしてもう1つ、プレミアムな空間を演出したものがある。ステージバックに設置された巨大なスクリーンだ。当日はオープニングで『Spicy Sessions』の名シーンをダイジェストで流すほか、演出面でも大活躍だった。
どう活躍したのか。
例えば音楽シーンを基準にするならば、ライブハウス規模の会場では、ステージ背面にあれだけ大きなスクリーンが設置されることは“ライブ”においてはほとんどない。筆者もファンミーティングで数度、見かけたくらいだ。もしZeppクラスで設置するなら、ライティングとの相乗効果を狙うLEDスクリーン、もしくは普通のスクリーンでも、楽曲を彩るイメージ映像を流すのが、今の王道パターンだ。
要するに、音楽シーンから見れば、かなり規格外なスクリーン。本番後、番組プロデューサーの竹中優介氏に質問をぶつけてみた。ステージバックの巨大なスクリーンは、後の放送を考えてのことだったのか、と。
“それよりも歌っている時の表情を見せたかったんですよ。バンドのサウンド、歌声、それから、歌っている時の表情。これが全部セットにならないと『Spicy Sessions』の良さ、この番組の価値が伝わらないと思ったんです”
『Spicy Sessions –THE LIVE–』は、番組の制作スタッフがライブ制作も担った。黒沢、中西、バンドメンバー、そして多彩なゲストたち。次の日に自身のライブがあるにも関わらず、出演を快諾したアーティストもいた。それぞれの音楽に対する想い、番組に対する想いがなければ『Spicy Sessions –THE LIVE–』は成立しなかった。いつもの収録では、出演者の目の前でカンペを出している竹中プロデューサーが、この日は別場所からイベント全体の進行指示をしていた。黒沢が“いつもは近くにいるのに、ライブの時はいなかったから、少し緊張した(笑)”と、後日、筆者に教えてくれた。
『Spicy Sessions –THE LIVE–』前半を終え、しばしの休憩後、後半がスタート。
バンドセッションに導かれるようにMCの2人がステージへと再び登場。会場からは大きな拍手が起こる。黒沢の“生バンドでの本格的なライブは初めて?”という質問に“はい。お客さんとバンドメンバーとの板挟みになっている感じ”と、中西“独特”の初手が決まり、会場の空気が和んでいく。「第2部」1組目のゲストとして呼び込まれたのは、Little Glee Monsterのかれんとmiyou。モータウン調のブライトチューン「Pop Like A Star」をカラフルなライティングの中で披露した。第11回(2024年11月放送)に出演したかれんとmiyou。出演後の反響がすごかったと語るかれんは、黒沢ファン、中西ファンからも反応があって嬉しかったと明かす。番組出演時に披露したセッション曲に“ひとスパイス”加えてお送りする“リバイバルセッション”では、かれんと中西で、三浦大知の「ふれあうだけで~Always with you~」、miyouと黒沢でダニエル・シーザー&H.E.R.の「Best Part」を続けて歌唱した。歌う前に“今日のアルノちゃんのフェイクは前よりパワーアップしてそう”と期待を寄せていたかれん。歌唱中、中西が歌うパートで、同じように口を動かしながら、幸せそうな笑顔を浮かべる姿が印象的だった。続いて披露された「Best Part」では、黒沢とmiyouが魅せた。miyouは、昨年の番組出演時に“もう1回やりたい”って冗談で言ったら本当になったと、歌唱前に話していたが、その第11回の収録時よりも艶っぽさ、そして滑らかさが増した印象。曲の後半、お互いの歌声を探りながら、ロングトーンでせめぎ合う。バンドサウンドが2人に引っぱられて、サウンドのレイヤーを重ねていく。セッションとデュエットソング、2つの真骨頂を同時に発揮し、そのエネルギーに観客の気持ちが高揚していく。歌唱後“終わらないかと思った”とmiyouの第一声。かれんが“セッションしてましたね!”と感想を述べる。miyouは“止まらんかった”、黒沢は“お互いロングトーンでいっちゃうと、戻れないよね”と、とても楽しそうであった。今回のリバイバルセッションは、過去の再現ではない。番組の積み重ねを踏まえた上で“今、同じメンバーでやったらどうなるか”を体現するスタンスなのだと思った。
かれんとmiyouがステージを後にし、中西のソロ歌唱へ。ちなみに『Spicy Sessions –THE LIVE–』前半(第1部)では、黒沢が自身のソロ曲「夢みる頃を過ぎても」を歌唱している。“自分が(乃木坂46の)センターとして立たせてもらっている曲の中でも、好きな曲。バンドのみなさんのアレンジで、またお聴かせできたら”と、中西が選んだ曲のタイトルを告げる。「思い出が止まらなくなる」(乃木坂46)。タイトルだけで、あちこちから歓喜の声が上がった。中西は“星空に届きそうな”という歌詞に合わせて、手を空に向けて差し出すようなジェスチャー。言葉を1音1音、確かめるように置いていく。歌詞の余韻が、客席の隅々まで行き渡っていく。先述したセッションでの柔軟性や、声量のコントロールとはまた異なる、ソロならではの集中力が際立つ瞬間であった。初回放送から半年間ほど、黒沢からのリクエストに対して中西は、教えてもらった通りに頑張る、という取り組み方だったように思う。2年を経て彼女は、自分のオリジナリティを求める表現の探求者になっていると感じた。
番組初イベント、最後のゲストは平原綾香。『Spicy Sessions』第1回にゲストとして出演した彼女の登場は、番組の“原点”を想起させる。“自分の歌の中で、歌って、サックスを吹く曲は初めて”と、2024年リリースの「虹の向こうへ」を披露。“ほら虹のにおい”という歌詞に合わせて、ステージ上のライティングも柔らかな虹を描く。歌唱後に“素敵……”と中西。人間とは、本当に感動した時には言葉を失うものだが、観客の気持ちを中西が代弁しているように見えた。黒沢は“正解が見えない第1回の収録。そこに平原さんが来てくれて本当に良かった”と初回放送を振り返った。続いて、リバイバルセッションのコーナーへ。平原と黒沢によるレイ・チャールズの「Georgia On My Mind」は、原曲の持つブルージィな湿度を下敷きにしながら、平原のサックスが新たな風を吹かせ、黒沢のボーカルがその風に乗っていく。初回放送から『Spicy Sessions』を知る視聴者にとっては“再会”であり、ライブの観客にとっては“進化形”として提示された1曲だったのではなかろうか。続いて、平原、黒沢、中西の3人で玉置浩二の「ロマン」。声質の異なる3人が、互いの響きを尊重しながら音を重ねていく。『Spicy Sessions』が大切にしてきた“音楽ファースト”のマインドが、会場に広がっていく。ちなみに、黒沢曰く“(初回と比べて)ちょっとだけアルノさんのハモリが増えてます”とのこと。ぜひ、放送で確認してみてほしい。
放送チャンネル:CS放送TBSチャンネル1
番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/series/yRNA2/
X:https://x.com/SSessions_tbsch
Instagram:https://www.instagram.com/spicysessions/
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