“今日は何の日だろう……今日は……今日は……「渾身CRAZY FOR YOU!!」!”を合図に「渾身CRAZY FOR YOU!!」に突入すると、客席のボルテージも急上昇。小気味良いリズムと軽やかなメロディに乗せて、岸本はと恋する女の子のワクワクする気持ちを会場中に届けていった。
2曲終えたところで、週末にもかかわらず会場に集まってくれたファンに向けて、“今日のライブを選んでくださった方は、絶対元気にしてお返しします”と宣言したかと思えば、鼻歌交じりでギターのチューニングをするなど、終始マイペースぶりを見せる岸本。以降も「静電気パチリ」や「り:すたーと」など、緩急に富んだ楽曲で観る者を楽しませていく。
そんな中、この日はMC中に岸本のギターから、ギター本体とストラップをつなぐピンが外れてしまうハプニングも発生。ドライバーやガムテープを用いて緊急対応している最中も、岸本はバンドメンバーとエピソードで間を繋いで、その場をしのぐ。そして、ギターが再び岸本のもとに戻ると、バンドメンバーを紹介したのちに“このメンバーだからこそやりたいと思った新曲やります!”と宣言し、「あんたかっこいい」という仮タイトルの新曲を本邦初披露。レゲエチックな緩やさが独特のグルーヴを生み出したかと思えば、途中で疾走感の強い演奏が始まる転調も含まれており、息の合った4人のアンサンブルを楽しむことができた。
ムーディーな空気をはらんだ「まだ熱のある君は」や「しあわせはっぴい」といったミディアムナンバーでは、リラックスモードの歌で会場を優しく包み込む。かと思えば、「30歳になる前に」では観客のクラップに合わせてひたむきな声を響かせ、ジャニス・ジョプリンのカバー「Mercedes Benz」ではソウルフルなボーカルで場の空気を掌握。曲の合間には“応援してくれたりライブに来てくださる人の存在って、自分が楽しい時間よりも悲しい気持ちになっている時とか、もう嫌だなみたいな時に思い出して、私のビューティフル・マイ・ライフをね、こうやってライブに来てくれる1人ひとりが繋ぎ止めてくださっているという。だから、本当にヒーローですよ。でもね、私もちゃんとヒーローになろうとしている日もありますので、ヒーロー同士ということで、長い付き合いよろしくお願いしますね”と客席に向けて感謝を伝え、「泣きたくはない」をエモーショナルに歌い上げるなど、ファンとの絆の強さを感じさせる場面も多々あった。
ライブ終盤には“別にネガティブでもいいので、ちょっとでもこの曲が勇気になれば、というような気持ちで歌詞を書いた”と告げてから、10月24日(土)から配信がスタートする中島卓偉作曲による最新ナンバー「正々堂々に」を初披露。ロカビリーを思わせるシンプルなロックンロールサウンドに乗せて、岸本は荒々しくも力強い歌唱で前向きな歌詞を届けていく。ライブのクライマックスにふさわしいこの曲は、今後のライブにおけるキラーチューンに成長していく……そう確信したファンは、きっと多かったのではないだろうか。この勢いを引き継ぐように、10月1日(木)にリリースされたばかりのアップチューン「ミートソース・パスタ」をくり出し、“ラララ”のシンガロングを交えながら会場の熱気を最高潮にまで引き上げて、ライブ本編を終えた。
アンコールでは、ライブTシャツに着替えた岸本が“みなさんが呼んでくれたから歌います!”と告げ、まずは「濃密スウィーティ」をプレゼント。ギターをかき鳴らしながら歌声をひたむきに届けることで、再びフロアの熱量を急上昇させていく。そして、最後の曲に入る前には12月に大阪と東京で弾き語りライブを行うこと、さらに来年2月26日(金)には東京・新宿レッドクロスにて新たなワンマンライブを開催することを発表。この来年2月のワンマンライブは、岸本が2017年2月につばきファクトリーでメジャーデビューしてから10周年という節目を記念したものとなる。
そんな嬉しいお知らせにフロアから喜びの声が湧き上がると、正真正銘のラストナンバー「⾟くないハッカ」が始まる。この曲のみ動画撮影OKということで、観客がスマホを向ける中、岸本は力強くも優しく温かい歌声とポジティブなオーラを会場中に充満させ、この日のワンマンライブを大成功のうちに完結させた。