映画レーベル『NOTHING NEW』が実写長編第1作として手がけた岩崎裕介初監督長編映画『チルド』は、東京の片隅にあるコンビニ<エニーマート倉富町7丁目店>を舞台に、小さな社会で起きたわずかな歪みをきっかけに、世界が終わりへ向かっていく様を描いた88分間の“コンビニエンス・ホラー”。主演に染谷将太、共演に唐田えりか、西村まさ彦、くるま(令和ロマン)らを迎え、2026年7月17日(金)よりテアトル新宿・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国の劇場で公開中。公開初日から全国で満席が続出し、盛り上がりを見せている。
その公開を記念した舞台挨拶が、7月21日(火)に開催。本作の中で主人公・堺(染谷将太)とマッチングアプリを通して出会う、3人の女性、りな役の清宮レイ、花枝役の大河原恵、都築役のイトウハルヒをゲストに迎え、『チルド』の魅力を語り合った。
映画『チルド』7/21(火)公開記念舞台挨拶レポート
■日 程 :7月21日(火)18:15 ~上映回の上映後に舞台挨拶
■登壇者:清宮レイ(りな役)、大河原恵(花枝役)、イトウハルヒ(都築役)、岩崎裕介監督
映画『チルド』の公開記念舞台挨拶には、脚本・監督を務めた岩崎裕介監督と、りなを演じた清宮レイ、花枝を演じた大河原恵、都築を演じたイトウハルヒが登壇した。
7月17日の公開から5日経ち、世の中の方からの反応を聞かれた岩崎裕介監督は、“『チルド』でエゴサーチをした時、これまでは実在するコンビニばかりが出てきていたが、公開された後に映画の感想で埋め尽くされたのを見て、局所的な熱が生まれているのではないか、と感じられ、嬉しかったです”と喜びとともに挨拶。
それぞれの役柄を演じる上で意識したことを聞かれた3人。りな役を演じた清宮レイは、“撮影のあった1年前は、自分がお芝居を続けていいか迷っている時期だった。かつての自分は表面的なことにすがっていた、と今振り返って思う。あの時の私にしか演じられなかった、りなという役だったな、と感じました。そんな中この作品に参加できてよかったです”と当時の心境と役柄を重ねた。
物語の転換点となるタイミングで登場する花枝を演じた大河原恵は、“オーディションの時に、花枝はどこからともなく寒気がしている、と監督がおっしゃっていて、撮影の時もその堺と違う温度感を意識して演じていました”と独特の雰囲気をまとう花枝を温度で表現。
終盤に向かっていく印象的なシーンで登場する都築を演じたイトウハルヒは、“岩崎監督の演出には独特の間合いがあって、難しかった。何回も演技をする中で、自分にない引き出しを持ってきていただいて、とてもありがたかった”と撮影当時を振り返った。
前日にNOTHING NEW公式SNSを通じて送られた「自らの役柄との共通点または相違点」という質問に対し、岩崎裕介監督は“オーディションでのお芝居を参考にしつつ、当て書き的に脚本を作っていった”と明かした。
笑顔で会話はしているものの、どこか噛み合わなさを表現した、りな役を演じた清宮は、“自分は人への執着がないように見えるけれど、概念的なものや表面的なものに執着してしまう点は、りなに似ていると感じました”と語り、大河原は“「生きていることと、そうでないことが、もうそんなに変わりがないんじゃないかって、思えるんです」という劇中のセリフは、言葉にせずとも自分自身もそう思っていたので、台本を見た時に、その感覚が言葉になっていたと感じました”と、作中の花枝に共感する部分があるとの意見も。壊れかけた世界を印象的に語る都築役のイトウは、“何考えているのかよくわからない、と周りから言われる部分は似ているかもしれないが、自分は抽象化して考えるよりも具体的に毎日生きているので、そこは異なると思う”と視点の違いに触れた。
清宮は、“テアトル新宿は大好きな映画館なので、こうしてお仕事で来られて本当に嬉しいです”と語り、大河原は“初めて映画を観た時に、日常に点を打たれた感覚があった。先日もう1度拝見したら、また違う面白さがあった。鑑賞してくらった方は、また観ていただいたら違う点でくらうことができると思うので、末長く楽しんでいただけたら嬉しいです”と複数回の試聴で作品の味わいが変わることに言及。イトウは、“まだまだここから上映が続くと思うので、この映画を通してみなさんとご挨拶をできたこと、本当に嬉しく思います”と、ここからの上映にも期待を寄せた。“私自身にとっても、NOTHING NEWにとっても初めての長編作品です。できることすべてを懸けて作り上げた作品です。みなさまからの感想を糧に、これからも作品作りを頑張っていきたいです”と岩崎裕介監督が締めくくり、公開記念アフタートーク付き上映は温かな拍手に包まれながら幕を閉じた。
時間が過ぎるのを待つように日々をやり過ごす都築は、ある日バイト先の店でおかしな姿の客がいることに気付く。彼女には客の全身が本のシュリンクのようにパックされて見える。それ以降、都築はそんな姿の人間を時折見かけるようになった。
様々な人間との交流や街で見かける光景で、都築は「あのパッケージされた姿はなにかの予兆だ」と確信していく。虚無の日々の中、パッケージ人間を見かけることに少し楽しみを覚える都築。
徐々に自身も"そっち側"になりつつあることに気づかないまま……。
ベルリン国際映画祭国際批評家連盟(FIPRESCI)賞受賞、傑作コンビニホラーのもう1つの物語。
販売価格:定価: ¥1,925 (本体¥1,750+税)
1993年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。 2017年東北新社入社、2019年ディレクターデビュー。国内最大級のCMの祭典・63rd ACC CREATIVITY AWARDS フィルム部門にて自身が監督を
務めたCMがグランプリを受賞し、作家/演出家としても活躍する。 会話劇を中心とした、静的で異
物感のある演出が持ち味で、2024 年自身初となる脚本・監督ホラー作品『VOID』を発表。本作
はロッテ ルダム国際映画祭、サンフランシスコ国際映画祭、ヴェネツィアショー トイタリア映画
祭、リスボン国際インディペンデント映画祭、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭など数々の映画祭で入選する。
ベルリン国際映画祭(ドイツ)/ フォーラム部門正式出品・国際映画批評家連盟賞受賞
台北・金馬ファンタスティック映画祭(台湾)/ 正式出品
全州映画祭(韓国)/ミッドナイトシネマ部門 正式出品
ファンタジア国際映画祭(カナダ) / Cheval Noir Competition部門 正式出品 ほか