インタビュー
無名上京アイドル「368日の告白」 ── 名前のない私たちが、名前を持つ日「ここまでついてきてくれて、ありがとう」(姫歌)
2026.09.05 18:00
「無名上京アイドル」 ── それは、まだ何者でもなかった彼女たちが、自分たちの夢を信じて走り始めるための名前だった。メンバーとの別れ、届かなかった歌、受け取られずに客席を転がったサインボール。それでも立ち止まらず、何度も歌い続けた。悔しさも迷いも隠さず分け合ううちに、バラバラだった3人は、いつしか家族のような存在になっていた。2026年9月12日、渋谷FOWS。368日間をともに歩んだ名前に別れを告げ、彼女たちは新しい名前とともに、本当のスタートラインへ立つ。これは、最後まで「無名」を生き抜いた彩叶、姫歌、結名、それぞれの告白である。
 
インタビュー&文:ポラリスプロ
 

“むめじょ”のファンは曲を聴きに来てくれている

 
── 無名上京アイドルとして活動してきた中で、3人にとって特に忘れられないことを教えてください。
 
夢乃姫歌(以下、姫歌) 基本的に悔しい気持ちが忘れられないんですけど、今年4人になっての活動で
結構早めの段階のときに、客席にサインボールを投げるライブがあったんです。そのときにサインボールを「受け取ってください」って言って投げたんですけど、誰も受け取らず、ポンポンポンポンとバウンドしていったのが、もうショックというか……現実を見せられて、一番めちゃくちゃ悔しい思いをしたので、それが忘れられないです。
 
── 対バンライブで他のグループのファンがいて、自分たちのボールを取ってもらえなかった?
 
姫歌 そうです。無名上京アイドルのファンの方がそのときは2人ぐらいしかいなくて、新規のファンの方に向けて、サインボールを投げたので……。
 
── 活動を始めた頃と比べて、グループとして最も成長したと思うところはどこでしょう?
 
姫歌 最初はみんなでコールセンターで働いてたんですけど、仕事でつらい出来事の方が多かったので、みんなネガティブな発言だったり、マイナスの発言が多かったんです。でもいまはポジティブさが出て、言い訳が減ったというのは、全体を通して成長したなとは思います。特に3人になってからですね、圧倒的に。私がマイナス発言をしないように意識もしたし、みんなも自然と減っていった気がします。
 
── 彩叶さん、姫歌さん、結名さん、それぞれグループの中でどんな役割を担っていると思いますか?
 
姫歌 彩叶はやっぱり無名上京アイドルの顔。看板娘みたいな感じで、誰もが可愛いと目を惹くし、笑顔が素敵な第一印象を持っているので。まず彩叶をいいなって思ってもらって、そこから無名上京アイドルを知ってもらえることが多いので、すごくありがたい存在です。結名は末っ子感がだんだん出てきているんですが、やっぱりダンスになると、一番引っ張ってくれる存在。無名上京アイドルとしてパフォーマンスを磨くために、一番グループのこと考えてくれてる存在。パフォーマンスリーダーとして頑張ってくれてます。で、私はリーダーなので、誰よりも努力して、メンバーのためにも、ファンの方のためにも時間をたくさん使って、背中を見せていかなきゃいけない役割だなと思ってます。
 
── 9月12日のワンマンライブに向けて、フリーライブを何回もやってますけど、この場所でライブを続けることにはどんな意味がありますか?
 
姫歌 最初は通行人だったり、仕事終わりの人だったり、アイドルにはあんまり興味のない方に届けるライブのイメージではあったんですけど、私たちの力だけでは振り向いてもらえなくて……ビラ配りもそんなに受け取ってもらうことが全然少なくて。「フリーライブやったら絶対ファンたくさん増えるね」とか、ビラ配ってめっちゃ知ってもらえるねって思ってたんですけど、思ってたのと違くて。私もビラ配りされてるのあんま受け取らないタイプだし(笑)。ガラス張りで見えるんですが、そもそも中に人がいないと入る勇気っていうのが出ないから。そう考えると、これはファンの方と作っていくフリーライブだなと思ったんです。私たちの力だけでは振り向いてもらえる数も少なくて、いつも応援してくださるファンの方がどれだけ大きいか、支えられていたか。毎回のライブがいいライブだったわけではなかったので。その毎回のライブが悔しかったり、嬉しかったり、一歩進んだなと実感したりするライブ。 一つ一つに意味があるライブだったなって、今までのフリーライブで思います。
 
── フリーライブを重ねる中で、パフォーマンスやお客さんとの関係にどのような変化を感じていますか?
 
姫歌 お客さんは支えてくれる親戚みたいな感じにすごく絆が深まったなと思います。ファンの方が友達やオタク仲間を連れてきてくださったり、SNSで拡散してくれたり、今日フリーライブこの子たちやってますとか、SNSにフリーライブ来たときに撮ってくれたやつを載せてくれたり、来れない方でもライブ配信の映像を載せてくれたり、そうやってみんなが広めてくれる。親戚かのように協力してくれるので、それがすごく温かい存在だなって思うようになりました。
 
── そのXXIのライブ中や終演後に起きた特に印象に残っている出来事は何でしょう?
 
姫歌 フリーライブではオリジナル曲を届けたいっていう気持ちが一番大きいんです。新規のお客様が増えやすい、そういう目的でやってしまうので。代わり映えのない衣装とセットリストでやってたんですけど、いつも来てくださる方に特典会で、毎回新規の方が来る。で、多くの人に広めたいって思うから、代わり映えのないライブだし、衣装もずっとこれだし、どうしたらいつも来てくれる方を楽しませるかなと思って、「MCとかいろいろ工夫してんだよね」っていう話をしたら、「音楽を聴きに来てくれるからそれでいいんだよ」って言ってくれて。それがめちゃくちゃ嬉しくて。私たちアイドルではあるんですけど、コールを楽しみに来るファンの方だったり、自分が盛り上がりたい、楽しみたいから来る方も全然いる中で、私たちの無名上京アイドルのファンの方って、ちゃんと曲を聴きに来てくれてる方が多いなと思ったので、その言葉で「あ、ちゃんと曲が届いてるんだ」って思えたのがめっちゃ嬉しかったです。
 

無名上京アイドルという名前も愛おしい感じ

 
── 9月12日には新しいグループ名が発表されます。 今、無名上京アイドルという名前で過ごしてきた時間をどのように振り返りますか?
 
姫歌 初めは私がパッと付けた名前なんです(笑)。最初にSNSを始めるのにアカウント名を決めなきゃいけないじゃないですか。グループ名は人気になってからファンの方と決めていこうっていう話はしてたので、「じゃあアカウント名どうする?」ってなったときに、上京アイドルオーディションだったので、「まだ無名だし、無名上京アイドルでいいんじゃないですか?」って言って。そしたらそれがいったん正式な名前になったんですけど……職場の人に「何ていうアイドルやってんの?」って言われたときに「無名……無名上京アイドルです」みたいな感じで、堂々と胸を張って言えてはいなかったんですよね(笑)。でも最近は無名上京アイドルという名前も愛おしい感じになってきたので、グループ名が変わるのはちょっと寂しいですけど、今変えないと一生無名のままなので、それはもう一つの一年間の思い出です。
 
── 新しいグループ名のヒントをファンの方に教えてください。
 
姫歌 私たちは「夢を持つことは素晴らしい」と伝えるアイドルグループなんですけど、それに変わりはありません。
 
── 初めて自分で聞いた時はどう思いました? その名前。
 
姫歌 私が主です。だから自分のイメージとピッタリ(笑)。
 
── 名前が変わることで、自分たちの意識やこれから表現したいものは、どんな風に変わっていきそうでしょう?
 
姫歌 コンセプトがより明確になると思います。私たちの夢と同時に、ファンの方の夢、今までは私たちの夢って感じだったんですけど、私たちを応援してくれる皆さんの夢も一緒に叶えていく物語にしたいなって思います。
 
── これから表現したいもの、個人的にあったりしますか?
 
姫歌 表現……今でもやっぱりリアルさは伝えてはいるんですが、アイドルは綺麗な部分だけじゃない、キラキラした部分だけじゃないってことは、私はこれからもずっと、アイドルさんにも共感だったり、もういつも笑顔でキラキラしてるアイドルさんが共感して、一緒に、今後前に進む理由だったり、そういうひとつの何かのきっかけになっていきたいな。そういう風に人に表現、言葉でも表現して誰かの何かの心に刺さるような、「あ、あの方なんかいいこと言ってたな」とか、それぐらいでもいいので、そういうきっかけになりたいなと思ってます。
 
── 姫歌さんがステージに立つ上で最も大切にしていることは何でしょう?
 
姫歌 一年前はただただステージで歌って「私たちは歌がうまいですよ」みたいな自分を見せる場所だった。今も自分を見せる場所には変わりはないんですけど、いまはとにかく歌詞を誰かに伝えようとしてる。歌詞を伝えて、実際に音楽を聴きに来てくださった方の目線で、この歌詞はこの方に伝えたいっていうのをちゃんと一人一人、あの、表情だったり思いを見てほしいなとは思ってて。歌はなかなか、私もそうなんですけど、あんまり響かないですよね、本当にいい曲じゃないと。それって多分伝える人側の問題かなと思ったりするので、響かないからこそ、その瞬間、ワンフレーズだけでも一人の人と向き合うようにしてます。
 
 
── 9月12日のワンマンライブはどんな一日にしたいですか?
 
姫歌  一年前にできなかった、歌詞。一年前に歌った「あくび」っていう初めてのオリジナルソングと、今歌う「あくび」は思いが全然違うわけで。 今、私たちはここにちゃんといます。一年間経った今でも、この「あくび」をこれぐらい思いを乗せて歌えるようになりますっていう証明できる場所にしたいなと思ってます。
 
── 一年前の「あくび」を聞き返すとへたくそ?
 
姫歌 めっちゃ下手くそです(笑)。聞いてられないですね。
 
── ワンマンライブの前に、他の二人にはどんな言葉をかけますか?
 
姫歌  ここまでついてきてくれてありがとう。その一言で。
 
── これまで応援してくれた人と、これから皆さんを知る人へメッセージをお願いします。
 
姫歌  いつも応援してくださるファンの方。家族、そして支えてくれる仲間。9月12日のワンマンで、ちょっとした心の拠り所になれたらなと思って。今もメンバーはきっと「ここが居場所だ」って少しは思ってくれてるとは思うんですけど、今はそのファンの方も一番じゃなくてもいいので、他の推してるアイドルさんだったり、アーティストさんいてもいいですが、たまに私たちを思い出して、そっとちょっと無名上京アイドルあるとこ、もう一回戻ってみようかなとか、行ってみようかなって来てくれる居場所みたいな場所に、隠れ家ぐらいなイメージでもいいのでちょっと戻ってきたいなって思える場所にしたいし、その場所はここだよって証明するようなワンマンライブを9月12日にしたいなって思ってます。
 
ライブ情報
𝟏周年𝐋𝐈𝐕𝐄🗼
【𝟑𝟔𝟖日-最後の名前、最初の一歩-】
 
🗓️𝟐𝟎𝟐𝟔.𝟎𝟗.𝟏𝟐(土)
📍 𝐒𝐇𝐈𝐁𝐔𝐘𝐀 𝐅𝐎𝐖𝐒
🕰️ 𝐎𝐏𝐄𝐍 𝟏𝟕:𝟏𝟓/𝐒𝐓𝐀𝐑𝐓 𝟏𝟖: 𝟎𝟎
🎟️
 
あの日私たちを見つけてくれた皆さんへ。
368日の景色を、見に来てください。

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